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ヴァイオリンまたはフルート・トラヴェルソとチェンバロための ソナタ第6番 ト長調
定価:1,400 円
《作曲者について》
作曲者のカルロ・テッサリーニは1690年にイタリアのリミニで生まれました。その作風から、若いころコレッリやヴィヴァルディに師事したという説がありますが、確証はありません。テッサリーニは「旅行型」の作曲家で、ヴェネツィア、ウルビーノ、ペーザロ、カメリーノ、ローマ、ナポリ、ファーノなどイタリア各地で教会の楽長や宮廷楽長などの要職を務めたのち、57歳ころからヴァイオリンのヴィルトゥオーソとして、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、イギリスなど、ヨーロッパ各地で演奏活動を行いました。また兄と出版業を起ち上げて、アムステルダムやパリの有力な出版社と提携し、作品の出版にも積極的に携わりました。1760年ころオランダに定住したテッサリーニはアムステルダムで、1766年76歳で没しました。現存する作品は全てヴァイオリンを中心とした器楽作品です。テッサリーニの承認なしに無断で出版されたものも含め、40余りの作品集が出版されました。テッサリーニは70歳を超えても精力的に練習し、演奏技術が衰えることはなかったといわれています。
《作品について》
本書の作品は、1748年にヴェネツィアで出版された作品14 「ヴァイオリンまたはフルート・トラヴェルソ(以下、フルート)のための6つのソナタ(Ⅵ SONATA à VIOLINO O FLAUTO TORAVERSIERE E CEMBALO)」の第6番G-durです。この作品14はダブルストップを要求している箇所が見られることから、実質は(フルートでも演奏できる)ヴァイオリンソナタ集です。オーストリア継承戦争の講和条約(アーヘンの和約)のために召集された全権公使に献呈された作品で、表紙に「エクス・ラ・シャペル会議全権大使閣下へ(alle LORO ECCELLENZE GE’MINISTRI PLENIPOTEN-ZIARI NEL CONGRESSO DI AIX LA CHAPELLE)」と、大きく記されています。出版社の記載がないことから、おそらくテッサリーニ自身が印刷したものでしょう。表紙に「E CEMBALO」と記されていますが、オブリガートチェンバロではなく、通奏低音付きのソナタ集です。室内ソナタと教会ソナタが混在していることや、短調のソナタが1曲しかないこと、G-durが2曲存在することなどから、作品14はテッサリーニが過去のヴァイオリン作品から6曲を選び出し、フルートでも演奏できるように部分的に書き換えて出版したものと思われます。
テッサリーニのフルートのための作品は、これ以外に1732年にアムステルダムで出版された作品2「フルートと通奏低音のための12のソナタ(Ⅻ Sonate per Flauto Traverso e Basso Continuo)」が現存しますが、作品2は、1729年にヴェネツィアで出版された作品1「ヴァイオリンと通奏低音のための12のソナタ(Ⅻ Sonate à Violino e Basso Continuo)」を、アムステルダムの出版社ル・セーヌ社が、テッサリーニの承認なしに無断でフルート用に書き換えて出版したものです。テッサリーニの正式な作品2は、1734年にウルビーノで出版された「師弟のための2つのヴァイオリンによる6つの室内ディヴェルトメント(Il Maestro e Discepolo, 6 Divertimenti da Camera a due violini )」です。
ル・セーヌ社は、エティエンヌ・ロジェ (1664-1722)が創業した楽譜出版社ロジェ社の出版事業を、ミステリアスな紆余曲折の後、創業者の長女フランソワーズの夫ミシェル=シャルル・ル・セーヌが継承した出版社です。ル・セーヌ社は、テッサリーニの他にも、ロジェ社時代に出版された、フランチェスコ・ジェミニアーニやピエトロ・カストルッチなどの作品を作曲者の承認なしに編纂して出版しています。
本書の作品14の第6番G-durは、急-緩-急の室内ソナタ形式のソナタです。第1楽章は3連符、6連符が特徴的なAllegro、第2楽章は同名調(g-moll)のAndante、第3楽章は舞曲風のPrestoです。作品14のソナタ集は、通奏低音の存在感が大きく、独奏楽器同様の役割を果たしています。本書の内声(チェンバロの右手)は、1748年の出版譜の通奏低音に付けられた数字を基にリアリゼーションしたものです。出版譜に大きなミスはありませんが、通奏低音の数字や臨時記号に記載漏れや誤りがいくつかありました。通奏低音の数字については修正してリアリゼーションしています。その結果、作曲者の意図ではない和声の動きがあるかもしれません。チェンバロのパート譜に出版譜のまま数字を記載していますので、不自然と感じる部分があれば、内声を変更・追加して演奏してください。記載漏れの臨時記号については、括弧付きで記入しています。
《他の楽器での演奏について》
テッサリーニのヴァイオリン作品の多くは、当時のヴァイオリンの全音域を駆使しており、上はG6まで要求している作品もあります。作品14ではフルートでも演奏できるよう音域をD4~D6に抑えていますので、音域的にはオーボエやディスカント・リコーダーでも演奏できます。ただ、ディスカント・リコーダーのD6は、音量、音質のコントロールがし難いうえ、実音は超高音のD7が鳴りますので、音量等のバランスなどから部分的にオクターブ調整した方がいいでしょう。フルートの作品をトレブル・リコーダーで演奏する場合は、短3度(調によっては長3度)上に移調して演奏することが一般的ですが、この方法は数ある選択肢のひとつに過ぎません。音域を超える部分などをオクターブ調整して、そのままの調で演奏できるフルート作品もあります。
短3度上に移調して演奏する利点は、リコーダー奏者が通常のト音記号(以下、ヴァイオリン記号)を小ヴァイオリン記号(第1線がG4)と見做し、頭の中で調号や臨時記号を変えることで、楽譜を書き換えずに演奏できることです。この場合通奏低音奏者は通常のヘ音記号(以下、バス記号)をバリトン記号(第3線がF3)と見做して読みます。
この方法の難点は、リコーダー奏者にとって非現実な調になったしまう場合があることです。本書作品は、第2楽章で同名調のg-mollに転調していますので、短3度上げると、♭が5つ付いたB-mollになってしまいます。長3度上げると、第2楽章は#2つのh-mollとなりますが、第1、第2楽章は#が5つのh-durとなり、演奏を楽しめる調にはなりません。リコーダー奏者が短3度上げて演奏できるフルート作品の調は、#系ではA-dur、♭系ではF-durが限度でしょう。
この方法は不可逆で、フルート奏者がリコーダーの作品を短3度下に移調して演奏することはありません。リコーダー譜が小ヴァイオリン記号で書かれていたら、それをヴァイオリン記号と見做し、頭の中で調号を変えることで3度下げて演奏できますが、リコーダー譜を小ヴァイオリン記号で表記していたのは、テレマンやJ.Sバッハなど少数派で、多くの作曲家はヴァイオリン記号で表記していました。その場合でも、ヴァイオリン記号をソプラノ記号と見做し、通奏低音はバス記号をヴァイオリン記号と見做すことで短3度下げて演奏することができますが、そもそもフルートの音域はリコーダーの全音域を包括していますので、短3度下げて演奏する必然性はありません。
本書の作品をトレブル・リコーダーで演奏する場合は、短3度上ではなく完全4度上のC-durで演奏するといいでしょう。パート譜は、「フルート、ヴァイオリン、オーボエ用」、「ディスカント・リコーダー用」、「トレブル・リコーダー用(C-dur)」を同梱しています。トレブル・リコーダーで演奏する場合、通奏低音奏者はバス記号をソプラノ記号と見做し、頭の中で調号や臨時記号を変えて演奏して下さい。